夏のトキシン

 

 

改札口の吐き出す旬日

刷り込まれたいつものルート

凍結した衝動の変移

抜刀霞斬り

 

違うって

 

何か最悪の結果みたいに

抉り込みスルドい太陽光線

白っぽく灼けたアスファルトから

半透明のロジックが乖離してく

ハイスピード鋼のビル壁に弾かれて

散った色彩の火花の中

 

はて?

 

湿って重たい空気の中を

はくはくなキモチで泳ぎ抜け

出そうなバスの扉を叩けば

噴出しかける苛烈な思惑

多くは思い留まって

ユラユラ歪んだ視線に変わる

 

露骨な舌打ちと刹那の悪意

漂白された展開のキーワード

分列と増殖を繰り返しながら

小心に風穴ぶち開けて

いつかを夢見る極光の宮

 

逃散する実相のシャウト

曇った自動ドアの向こうには

暗天に星が瞬いている

 

…わけないよネ やっぱし

 

時間とうしろの人が背中を押すから

ぶあつい修辞の地層に埋もれた

二律背反のうたう声は

鉄のハコの中には届かない

 

教えて下さい

人が両手にあたためる孵化温を

限られた事象を

永遠がほんとうに凌ぐのか

 

洋々たる事実(みず)に沈んで

不条理だっても日常へ帰納してユく

もうすぐ扉が開いて

ホンジツの存在領域が決定される

 

やんなるくらい確かなことに

ニンゲンの毒はコトバの中にある

 

               

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