ウチで初めて猫が死んで

 

 

ゆうべは 雪だった

 

つめたい空気を吸い込むと

耳の奥で冬がきんと鳴る

つっつかれたのうみそに

すこんとナットクが落っこちて来る

 

そっかあ…

 

朝ごはんに群がる猫ドモの中に

今日からは一匹の姿が消えたまま

空いたスペースのそらぞらしさが

きっと存在ってヤツなんだ

 

今日は燃えるゴミの日だ

 

朝日に溶かされて

道の端でぐちゃぐちゃいじけてるドロ雪や

アスファルトの上にべひんと残る

27センチくらいの靴跡や

そんなものをいちいち数えて溜息をつく

ゴミ出しにまで

 

ナットクはつきまとって来る

コレは日常

 

宙に目を投げれば

堕ちてしまった雪に清められて

地球をまもる大気が

泣きたいくらい澄みきってる…

 

これから 焼き場へ行くんだ

「土に還る」

そんなさいごの約束も許されずに

ちょびヒゲの猫のエネルギーは空に逐われる

 

エイセイって かすんかすんだ

 

オレンジ色のダンボールには

ミカンのかわりに猫が入ってて

ひやっとする物理的な感覚を発散してる

はだに響く

これが 喪失ってヤツなのかい?

 

知らなかったんだ

ぼくは かなしんでる

 

                     

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